中国・四国地方の海産物がおいしい理由

内海で浅瀬が多い

瀬戸内海は水深が浅いところが多く、太陽の光が海底まで届く範囲が広いことが特徴です。
そのため植物プランクトンが発生しやすい環境で、それをエサにする動物プランクトン・小さな生き物が集まり、
また、それをエサにする大きな魚介類が集まるため、海の幸の種類も豊富です。

潮の流れが速い

太平洋を北上してきた黒潮が流れ込み、その勢いで瀬戸内海全体の栄養がかき混ぜられます。栄養が1か所に偏らず全体に行き渡るため、
瀬戸内海で暮らす魚介類にとっては過ごしやすい環境が保たれます。
もっとも流れが速い地点として鳴門の渦潮も有名で、春・秋の大潮の際にトップスピードに達します。
ときには時速20km/hを超えることもあり、そのときのスピードは男子マラソン日本記録保持者と同程度です。

魚介類もその速い流れに負けないように泳がないといけないため、身が引き締まり旨みが凝縮されます。

島が多い

干満差が大きいことも潮の流れを速くしている原因です。瀬戸内海は波が打ち寄せるポイントが多く、その分潮の満ち引きが大きくなります。
場所によっては干満差が4mに達するところもあるほどです。
また、場所によっては時間帯によって環境が激変することも、多様な生き物が集まる環境の理由です。

香川とサワラ

香川県ではサワラ料理が多く、季節の行事をサワラで祝うことも多いです。
「鰆」という字が表すとおり春が旬のため、特に春の訪れを喜ぶ行事に取り入れられます

例えば、香川の農家には1年の農作業をがんばってくれたお嫁さんを労わるため、お嫁さんにサワラを持たせて実家でのんびり過ごしてもらう風習があります。
また、「はるいお（春祝魚）」も有名です。春に農業が始められることを喜ぶ行事でサワラ料理で農作業を助け合う親戚縁者におもてなしをします。

徳島とマダイ

徳島といえば鳴門のうず潮が有名です。うず潮が生む急流にもまれながら育ったマダイは「鳴門鯛」と呼ばれ高級魚として知られています。

食べ方は素材の味を活かした漁師めしが多いです。例えば鯛寿司はマダイを3枚におろして酢飯で握るだけのシンプルな料理です。
船が漁から戻ってくる時間にあわせすぐに作れるシンプルさと漁から無事に帰ってきた喜びを表現するのにふさわしい豪華さを兼ね備えています。